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国際法から見た「ガザ支援船拿捕事件」

今日は中東調査会主催の研究会に参加してきました。
報告者は防衛大学校の黒将広さん。
ご報告タイトルは「国際法におけるガザ封鎖問題の位相」で、
具体的には5月末のイスラエルによるガザ支援船団拿捕事件の
国際法的見地からの分析、といった内容でした。

“公海上での拿捕”ということで、どう位置づけられるのか関心があり
行ってみたところ、報告内容も非常に明快で興味深かったです。
(私個人に対する質問等への応対は、非常に感じ悪かったですが・・・
 それはともかく)

(1)報告の趣旨に沿って、分かったこと

・今回の拿捕事件に対して、非難する側は「国際法違反だ」と主張し
イスラエル政府側は「正統で容認された行為だ」と主張(合法とまでは言わない)
しているが、それぞれ論拠となる法律が異なるため、議論がそもそもかみあっていない。

・根拠とする法が食い違うのは、イスラエルとパレスチナ(特にガザ地区で影響力を
行使するハマースによる行政体)との関係を、そもそも「武力紛争」の状態と捉えるか否か
で意見が異なるから。

・すなわちイスラエルは非対称な構図での「武力紛争」であるとみなすため、武力紛争法を適用し
その範囲で求められる要件は満たしていることを強調する。
これに対して非難する側は、「武力紛争」ではないとして、平時に適用される海洋法を適用し
拿捕は公海自由原則に反すると主張している。なのでそれぞれが主張を展開する際に
依拠する法律や前提自体が異なり、論争が成立しない状態になっている。

(2)派生的に指摘されて、面白かった点

・国際法違反が生じると、それに対して国際法上「責任」が発生し、当事国はそれを「解除」する必要がある。
トルコの事例では、「解除」のためにイスラエルは、被害国トルコが望む内容を満たして応える必要がある。
(犯罪として、犯人の処罰など)

・今回の拿捕事件でパレスチナに対するイスラエルの行為の違法性が問われるのは
拿捕が海上封鎖の一環として行なわれており、海上封鎖は占領法規上、ジュネーブ第4条約の文民条約上
禁止されている集団懲罰とみなされ得るため。
(占領地域の域内民に対する占領政府による保護の要請、が根拠かと思ったけど、違うらしい。
 おそらくイスラエルがガザ地区を「占領地」と認めていないため?)

・(上記に関連して)イスラエルは西岸地区、ガザ地区を「占領地」と認めていない。
なぜなら法律上の無主地であり、どこの国家の領域にも帰属していないから。
いまだにイスラエルとパレスチナの間の「係争地」であり、それゆえ占領法規は適用されない、と主張している。

・ちなみにイスラエルとヨルダンは、国際法上はいまだ「戦争状態」と定義され、
その現状については国際了解があるらしい。
2004年のICJ勧告的意見(分離壁の建設に対して)では「(1967年戦争以降)イスラエルはヨルダンとの関係で
占領をしている」と認定されたらしい。(きちんと読んでなくて知らなかった・・・)
宣戦布告~平和条約締結までを「戦争状態」とみなすのは、戦前の古い定義で
今では「戦争状態」は、事実上の緊張状態などに基き判断され、武力衝突の存在すら必要要件ではないとか。
このあたり、大昔の大沼先生の授業で習った気もするが・・・はるか忘却の彼方だった。

細かい事実もきちんとおさえられていて、報告も筋道が立ち、非常に面白かった。
プレゼン能力も高い、優秀な人だなとの印象は受けました。
これでもう少し感じのいい人ならね。また話を聞こうという気にもなるけれど。

まあともかくも、勉強になりました。
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Author:錦田愛子
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