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不毛なシリア攻撃へ?(1)

シリアをめぐる国際情勢が緊迫の度を増しています。
8月21日にダマスカス郊外のグータ地方で起きた模様の毒ガス攻撃をめぐり
欧米各国が介入の姿勢を見せ始めているからです。
私はこの地域に関して専門ではないのですが
2003年に留学を始めたちょうど同じ時期に起きたイラク戦争と
デジャヴのように重なることが多く、気にかかっています。

今回、軍事介入するぞ、と一番息巻いているのはイギリス、続いてアメリカ、フランス。
(フランスに関しては、他の2国ほど積極的にも見えませんが、
シリアの旧宗主国だから無視はできない、という感じでしょうか)
ですがどの国も、介入には反対の声が強く、二の足を踏んでいるようです。
アメリカとイギリスは、イラク戦争の際も派遣部隊の中核をなしていました。

ほかにもイラク戦争との共通点を挙げれば、
前段階として、政府側の武器保有状況の確認に、既に国連査察団が送られていたこと。
(イラクのときは大量破壊兵器、シリアでは特に化学兵器について)
介入を正当化する国連安保理決議がまずは求められたこと。
でも結局は、決議を経ずに(拒否権行使の可能性が高いので)介入する
道が開かれつつあること、などでしょうか。
まあ開戦の前に求められる当然の手順ともいえますが。
軍事行動後の筋道がはっきりしていないのも、共通点です。

ただ今回は、イラクのときほど「行け行けどんどん」の雰囲気は感じられず、
イラク戦争での教訓に学ぼう?という傾向なのか、違いも指摘できます。

イギリスでは軍事攻撃に関して下院での承認を求め、否決されたことで
介入への勢いが、一気にトーンダウンしてきました。
(それ以前に、なぜキャメロンがそれほど介入したがるのかが意味不明でしたが)
ブレア政権が、大量破壊兵器が見つからなかったことでかなり議会から叩かれた
という轍に学んだのでしょう。
判例や先例が慣習法としての役割を果たすイギリスでは、この否決はかなり
画期的なことだ、という指摘もあります。
毎日新聞 2013年8月31日記事

またアメリカもイギリスも、国連の報告書が出る前に、
それぞれ情報当局の調査結果を提示して、シリア政府側による化学兵器の使用が
確認された、と根拠の提示に躍起になっているようです。
とはいえ、アメリカの調査報告書を読んでも、
機密を理由に情報源は明らかにされず「複数の情報筋から・・・」と書かれている
だけなので、いまいち説得力には欠ける気がします。

イギリスが弱腰になったことで、そもそも2011年の「アラブの春」以来ずっと
中東・北アフリカへの軍事介入に積極的ではなかったオバマ大統領は慎重姿勢を強め、
介入するとしても限定的な攻撃にとどまる、と重ねて強調しています。
ケリー国務長官だけが「アサド政権を処罰せねばならない!」と息巻いているみたいです。
Washington Post 8月31日

このケリー国務長官という人は、イスラエルとパレスチナの和平交渉に関しても
誰もが「進展は期待できない」と言うのに、熱心にシャトル外交をしてみたり
なんだか自分(たち)の力に不思議な自信というか信念を抱いて行動する人のようです。
(でもいまや中東和平は頓挫して、ほったらかし)

政府によるガバナンスの失敗のため自国民が保護されない場合、
他国が人道的理由に基づき介入すべき、との「保護する責任」論が
近年では重視されている、という側面はあります。
(シリア情勢に関しては水口章氏によるBLOGSの記事参照(2013年8月28日))
しかし軍事介入がすなわちシリア民衆の安全確保につながるのでない場合
介入は、外から持ち込まれる火薬の量の増大しか意味せず、
「保護」としては機能しないのではないでしょうか。

「ここで介入しなければ、我々の決断力は試され続け、奴らは
やりたい放題で野放しにされる」とケリーは言いますが
Washingto Post 2013年8月31日、かなり抄訳ですが)
それってつまり「アメリカの面子のためにする介入」だと本音を吐いてしまってるようなもの。
そう理想と体面ばかりで兵隊を動かされても困ります。

戦争を始めれば多くの人命が失われ、経済状態や他の政策、政権の支持率にも影響します。
オバマが慎重になるのは、アメリカの内政・外交を総合的に判断してのことなのでしょう。
それに対してケリーは一本調子。そんな彼が、以前中東和平交渉のときも
イスラエル紙で「a bull in the china shop 」「最悪の意味でいう“いい奴”」と揶揄されてたのは、無理はない気がします。
Ha'aretz 2013年5月17日

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