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シリア介入をめぐり立ち込める暗雲

9日に再開されたアメリカ議会がシリア情勢に関する議決を先送りし
対シリア介入問題は長期化する様相を示してきました。
背景にはアメリカ国内での介入不支持の高まりがあるようです。

アメリカの大手ギャラップの調査では、シリアへの軍事介入への賛成支持率はわずかは36%だとか。
イラク戦争(2003年)のときの59%、アフガニスタン戦争(2001年)のときの82%
と比べるとかなり低いことが分かります。
9月6日Gallup調査
支持は9日の時点ではさらに28%にまで下がっています。
産経新聞9月10日

他方で当事者のシリアは積極的な外交攻勢に出ています。
前日8日にアメリカの大手CBSテレビの記者をダマスカスの大統領宮殿に招き
チャーリー・ローズ氏に独占インタビューをさせました。
アメリカのテレビ局がアサドにインタビューするのは過去2年間で初めてのことだそうです。
CBS9月8日9月9日
インタビューでアサド大統領は、政府側による化学兵器の使用を否定し
シリアが攻撃された場合、「あらゆる手段」をもって対応すると明言しました。
介入による打撃を回避するため、裏外交も駆使しつつ、
反撃の意図を強く示して牽制しているといえるでしょう。

8月21日の攻撃については、SNSやYouTubeで爆発的に広がった映像や
当事者の証言とされるものの他に、まだ決定的な証拠が示されていません。
化学兵器が使われた、という事実自体についても、国連査察団の調査結果がまだ出ていません。
以前挙げたアメリカ政府の報告書は射撃の記録と弾道を元に推測し、
Human Rights Watchは化学物質の入った弾頭を装填したと考えられる
ロケットを特定したうえで「反政府勢力が入手・保持できる武器ではない」
というのを根拠に政府軍のしわざだと強く主張しています。
Human Rights Watch9月10日)※IEではうまく開けないので、Cromeなど別のブラウザを推奨
 
しかし他方では、化学兵器を使用したのは反政府勢力ではないか
という噂も流れ始めています。
反政府勢力に拘束されていたイタリア人記者がもれ聞いたという情報は
確かな情報源とはなり得ませんが、逆にリアリティも感じられます。
AFPBB9月10日

すでに議会で審議をすると宣言した手前、その撤回もできず
審議した場合はイギリス同様否決される可能性も高い。
セントペテルスブルクで開かれたG20でも調整はつかず
ケリー国務長官はついに妥協案を提示しました。
シリア政府が保有する化学兵器を、国際管理下に供するなら
軍事介入はとりやめる、というものです。
これをロシアのラブロフ外相も支持。
フランスの提案で、国連安保理決議として正式に提示される模様です。
産経=共同9月11日

オバマ大統領は10日にアメリカ国民向けに演説を行い
シリア介入への理解を訴えています。
(演説全文:Washington Post9月10日
イラクやアフガニスタンのときのように泥沼化はさせない、
地上軍は送らない、つまりアメリカ国民の犠牲は最小限にとどめながら
正義を実現するためにシリアへは圧力を行使し続ける、ということでしょうか。
そんな都合のいいことが実現可能なのでしょうか。

安保理決議を待つかどうか微妙な様子のアメリカに対しては
ロシアが牽制をかけ始めています。
プーチン大統領がニューヨークタイムズ紙に直接投稿する形で
アメリカ国民に訴えています。
New York Times9月11日
「国際法を守れ、大国による決議の無視は国際連盟の二の舞となる」
という訴えは、まるでロシアが人権を守る法治国家のようです。
実際には、ロシアが拒否権を行使できる安保理を通さず
アメリカがシリアに直接介入することを避けようとする訴えでしょう。

シリア情勢は、こうした表と裏の駆け引きの勝負に
今後の展開が依存することになりそうです。
CIAはシリアの反政府勢力に対する武器供与を再開した模様。
Washington Post9月11日
不透明な先行きの中で、ひとつだけ確実に言えるのは
持ち込む火薬の量が増えるほど、死者は増えるということです。
アメリカ人以外の血であれば、いくら流れても構わない、ということでしょうか。

例によって、門外漢ながらのデータ整理に過ぎませんが。
様子を見守りたいと思います。
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避暑地でのできごと

ヨルダンに行けなくなったがっかりと、もろもろの精神的な疲れから
逃れるため、数日前から東京を離れ、涼しい田舎町に潜伏中です。

どこへ行こうというあてもなかったのですが、
インターネットで宿を探してて見つけた「1泊4,100円」という格安料金に
目を丸くして飛びつきました。(まるでドミトリー料金!)
朝食もなしの素泊まりですが、逆に時間を気にせずマイペースで過ごせるし
食べるところは周辺にありそう、というので決めてしまいました。

出発時間も適当に、家を出るぎりぎりまで仕事を片づけてから
荷物をまとめたので、到着は夕方。
まだ7時過ぎなのに、明かりが全部消えた商店街には途方にくれましたが
タクシーを駆って宿へ。運転手さんの話では老舗の宿のようでした。

広々としたあがり口に、やわらかな照明。案内してくれた若女将さんは
「バジェット・ルーム(節約ってこと)なので・・・」
とたしかに言ってはおられましたが、着いた部屋を見てやや茫然。
六畳一間、トイレなし、という昔の苦学生のアパートのような部屋。
古い建物だけに(それも雰囲気があっていいのですが)
さすがに物寂しい雰囲気。けちったのをちょっと後悔してしまいました。

でもまあ、これから原稿を集中して書くには、むしろいいか、と
自分を説得しながら開き直りかけたところに、宿主のだんなさんが
荷物を持ってきて下さいました。
(本を詰め込み、あまりに重いスーツケースなので、運ぶのをお願いした)
アメリカ人だそうですが、日本語が上手で気さくな雰囲気の方です。
念のために、と思い、ちなみにトイレ付の部屋は?と聞いてみると
隣の部屋を見せて頂けることに。
それが、

とても、いい!素敵なお部屋。
広いし(10畳)窓側に椅子とテーブルもあるし、畳が新しく爽やかな香り。
高いんだろうな、と思いお値段を聞くと、たった1,000円違いでOKとのこと。
即決で、そちらのお部屋に移らせて頂きました。
なにごとも、交渉してみるもんです。
(そういえば外国でも、私は常に部屋を見せてもらってから宿を決めてたような)

*** *** ***

ところがところが
交渉して勝ち取った部屋から、今日は追い出されてしまいました。
朝方、フロントから電話があり、予約が混み合ってしまい
部屋が足りなくなったので、もとの予約の小部屋に移ってくれないか、との話。
「NO」とは言えないおひとよしなので、すんなり荷物をまとめて出たものの
だんだん腹が立ってきてしまいました。

最初の想定とは違うとはいえ、私は追加料金を払っていまの広めの部屋に入ったはず。
部屋が足りないなら客をとらなきゃいい、とぷんぷんしながら
なかば腹いせに、宿を出て出歩いてしまいました。
とはいえ用事はたしかにあって、書類を送るため郵便局に行ったり、公衆浴場へ出かけたり。
おかげで今日は珍しく、町の人といろいろ会話ができました。
(これまでほとんど缶詰で原稿を書いたりしてた・・・)

部屋の前にかかる名前書きを見ると、私の後に部屋に入ったのは
外国人のお客さんのようです。
宿主がアメリカ人だから、外国人びいきなのか?とぷんぷんしてしまうものの
当の宿主は、私にとても気を遣ってる様子。すまなさそうに話しかけてきます。
若女将さんもそうですが、とても繊細な感じの方。
それなら向かいの少し小さめの二人部屋に彼らを通せばよかったのに
と客ながら勝手に思ってみたり。

夜遅く、お風呂から宿に戻ってきて謎がとけました。
宿の前に停まっていたのは青い外交官ナンバーのミニクーペ。
どうやら彼らは大使館の関係者のようです。
なるほど、それなら広くて眺めの良い、あの素敵なお部屋に通すのもわかります。
権力に屈する、云々ではなく、私も同じ立場(宿主)なら悩むだろうなあ
となんだか勝手に共感して、納得してしまいました。
外交官って、高圧的な人種ですものね(体験上)。

なんだかんだでやはり仕事で一日居座ったこの部屋も
なんだか居心地がよくなってきました。
最初は店がどこにあるかもよくわからなかったこの町の地理も
だんだん把握してきたし。
食堂やレストランの方とおしゃべりして、少し、町の人たちの生活の息づかいも
今日は感じられた、いい日になりました。

夏の終わり

オバマ大統領がシリア攻撃の是非を、異例の議会審議にかけることを決定し
シリア攻撃の可能性はひとまず先延ばしにされたようです。
夏休み明けの議会の招集は9月9日以降だとか。
イギリスのように臨時国会を召集しなかったのは、
緊急会議を開いておいて、まんまと提案を否決される、という憂き目にあった
キャメロン首相の失態に学んだためでしょう。

それにしてもアメリカでは軍事と外交において、大統領は大きな権限をもつはず。
わざわざ議会にご意見伺いをするなんて、オバマはよほど責任を取りたくないのでしょう。
(宣戦布告は議会権限、かつ戦争権限法の成立で事前協議の必要が
強調されるようになった、との背景はあるようですが)
息巻いていたケリーは、今のところオバマと表だった対立は見せず
決定を支持しながら「サリン・ガスの使用証拠」とやらを宣伝していますが。
Washington Post 2013年9月1日

ここまでトーンダウンした攻撃が、実際に10日後に始まるとは
あまり想像できません。
フランスでも「議会審議にかけろ」と言い始めてるようだし、
そちらも否決された場合、アメリカ単独介入はやはり困難かと。

戦争が遠ざかり、よかった、という安心感がまずはあります。
ヨルダン留学のとき、すぐ隣の国でもうすぐ戦争が始まる、
爆撃されて多くの人が亡くなる、と強い焦燥感を感じたのを
感覚的に鮮やかに思い出していました。
今も昔も、私ひとりにできることなど何もないのですが
それでも身近で戦闘が始まり、人が亡くなるのに何もできない
無力さを感じるのはつらいものです。

ただ落ち着くと同時に、それならやはりヨルダンへ行けばよかった
との後悔も。一か月前には申請書を出して承認を得なければならない
うちの海外渡航システムでは、もはやどうしようもありませんが。

思えば今年は、海外出張があまりスムーズには運ばない年のようです。
5月から受け入れ担当になった客員研究員の対応で、4ヶ月は基本的に
国内にいなければならず。
それが終わって、ようやく出れると思った今回の出張もどたキャンになり。
受け入れ期間中に、できる限りきちんと手続きを踏み、出かけようとした出張も
こちらではどうしようもない理由で一度、おじゃんになりかけました。
私費で行く、と腹を固めたとたんに「お赦し」が出ましたが。

周囲の先輩や後輩、先生方が、悠々と海外出張に出かけていかれるのに
私だけ、鎖につながれた気分です。

他方で、留学中や直後に知り合った方々からは、勝手に「フィールドワーカー」
としての夢を託され、期待をされて。
行きたくても立場上行けない、こちらの事情などお構いなしです。

おり悪しくも、べったり日本にいることになったこの夏は記録的な猛暑。
ヨルダンやエルサレムに行ければ、さぞや快適だったろうに。
そのために苦労して書類も揃えて手続きも万全に整えたのに。
白紙のパスポートを持ち歩きながら、時間だけが過ぎていきます。

情報技術の発達で、長年の現地の友人たちとFacebookやメールで頻繁に連絡が取れる
ようになったのは、うれしい変化ですが。
その代り、毎晩のようにしつこくチャットをしかけてくる、某政府高官も現れ
時差の関係で夜は不快のあまりウェブメールに接続するのすら厭になりました。
いい話には恵まれないくせに、セクハラだけには事欠かない今日この頃。
先日も、気の乗らない飲み会に行って、セクハラまがいを逃げながら帰ってきたら
携帯メールでこちらの人格否定までされて。
もう二度と会わない、と決めましたが、一生懸命生きてるのに、なんでこんな目にあうのか
悲しくなりました。

そんな感じで、今年の夏は終わりつつあります。
もちろん、実家に帰ったり、皆で花火に行ったり、楽しい思い出もできましたが。
原稿の仕事も溜まっているし、少しゆっくり日本で書いたり読んだりして過ごすのも
大事なことでしょう。

涼しいところへ行って、いやなことを忘れ、少し充電してこようと思います。

不毛なシリア攻撃へ?(2)

少し朝晩が涼しくなりかけてたのに、ぶり返したかのような暑さ。
うだるような蒸し暑さの東京で、今日もパソコンに向かい・・・

自分の専門分野でもないシリア情勢を、なんとなく追いかけて
読んだ記事をまとめてしまうのは、「本来はこんなはずじゃなかった」
という無念さのせいでしょう。
私事に立ち返ると、予定通りなら私は今日、成田を出てヨルダンとレバノンへ
海外出張に出かけるはずでした。
それが突然のキャンセル。

迷いに迷った末、行かないことを決めたのは、今回の航路を
トルコ航空で予約していたからです。
行くことは行けても、今後の展開次第では帰りは飛行機が飛ばないかもしれない。
(アンマンーイスタンブル航路が不安、迂回するとしても)
ヨルダン留学中に、イラク戦争開戦前は旅客機も運行停止した記憶がよみがえり。

予定では、帰国後すぐに日本で仕事が入っていたので
もし帰れないと、それに穴を開けてしまうという問題がありました。
あとは大学の経費なので、そもそもヨルダンだけ行くのには理由がたたず
何かあった際に他人に迷惑をかける、という事情も。
外部からは「つまらない理由」に聞こえるかもしれませんが
誠実に仕事をこなし、予算を執行するという大学人としては重要な要件です。

シリア攻撃は、数日前の勢いはなくなったものの、
まだ微妙な状況で事態が推移しています。
イギリスに続いてアメリカも、攻撃開始に際して議会の承認を求めることになり
騒がれてたような、今日明日、といったタイミングでの攻撃はなくなりました。
シリアのジャアファリ国連代表が「英米はひっこみがつかなくなってる」と
揶揄しているのも、無理はないかと。(SANA 2013年8月31日
まさに大義名分を掲げて息巻いたものの、上げた拳の下ろしように困っているような印象を受けます。

もしくは初めから、議会が止めてくれることを期待しながら
国際社会でのボスは誰かを示すために、虚勢だけはって見せたのか。
なんにせよ、今回介入するとしても、道理が立たず、
アメリカの国益になりそうもないのは事実です。

アメリカの国際政治学者(地政学が専門)スティーブン・ウォルトは
「今回の攻撃が、シリアによる化学兵器の使用を根拠に開始されることには理由がない」と指摘しています。
New York Times 2013年8月26日。和訳の記事はBLOGOSに掲載)
彼が言う「化学兵器は一般へ行きより殺傷力が弱い」という説明の真偽は
私には分かりませんが、これまで10万人と言われる死者が出てきたのを看過したうえで
化学兵器という理由のみで、アメリカの国益とのかかわりが変わったと主張するのは
たしかに説得力に欠けるでしょう。

しかもシリアでの化学兵器の使用は、これまでも既に何度か指摘されてきました。
なぜ今回に限り、ここまでクローズアップされるのでしょう。
国連査察団が入っていたからでしょうか。しかし査察団がいるのを承知で
敢えて毒ガスを使うことは、アサド政権にとってなんの利益があるのでしょう。
一般公開されている映像から分かるのは、化学兵器によると思われる死者が
1千人以上という単位で出たことだけです(映像資料の作成元、期日の確認も必要ですが)。
アメリカの報告書では、発射地が特定できたとされていますが、
それが国際社会で広く確認され、非難決議が出されたわけではありません。

悪化するシリア情勢に対して、何もしなくていい
と言ってるわけではありません。
ただ、ウォルトも言うように「空爆によってアサド政権の化学兵器の弾頭を破壊しつくすことはできない」し
そもそも政権転覆を意図しない中途半端な介入では、戦闘を激化させるだけのような気がします。
ましてやクサイル奪還後、アサド政権が攻勢を強める今、介入することで
戦況を大きく変化させることができるとも思えません。

湾岸戦争(1991年)のときのように「懲罰的攻撃」と位置付けるとしても
クウェートからの撤退、のような明確な「達成」の基準が得難いため
どこでアメリカがミッションを「終えた」と言い切るかは微妙な気がします。
無駄に流血を増やし、その後も化学兵器は使われ続け、ともなると目も当てられません。

そんな中、国連査察団が撤退したことで、
「巻き込まれる善意の市民」がいなくなり(そこにシリアの民間人は含まれない)
攻撃を開始する条件は整ってきました。
オバマが賢明な選択を下すことを祈りたいと思います。


プロフィール

錦田愛子

Author:錦田愛子
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