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隔世の感

先週からまた、パレスチナ/イスラエルに来ています。
今回は自分の研究テーマではなく、他の研究所から委託された研究テーマについての調査ということで、きちんと成果を出さねばと、普段にもまして頑張っています。

事前のメールでのアポ取りがうまくいったのと、来る前にノルマの先行研究レビューをなんとかまとめたおかげか、今のところ順調に予定がこなされています。
いろんな有識者から参考意見を聞いているけど、個別のトピックをとっても意見はばらばらで、どうまとめようか迷うところですが。

ともかくも、二度目の大雪が予報されていた日本を脱出し、来てみたパレスチナ/イスラエルは完全に早春の気候で、とても快適です。
ちょっと早いと思うんですが、アーモンドの花がもう満開で、うすピンク色の花びらは桜のよう。
昼間は半袖の人も見かけるほどの暖かさです。(私は用心して長袖ですが、セーターは不要)

それにしても、久しぶりに調査のみを目的に来てみて感じるのは、以前自分が調査に来ていた頃との時代の変化。
まあ考えてみれば、もう10年!以上も経つのだから当たり前ですが。
第二次インティファーダ(2000年~の対イスラエル抵抗運動)も遠い過去のことになってしまったのだな、と実感します。

私の頃は、検問所があまりに厳しくて、ほとんど入ることができなかったナブルスに、後輩が足しげく通って人と交流を深めている、と聞いたときも驚きましたが。映画『D.I.』や『パラダイス・ナウ』などで取り上げられて揶揄されていた、あの不動の検問所も、今ではすっかり姿を消しています。

それにもまして、今回聞いて驚いたのは、ビルゼイト大学での学生デモの話です。
学費の高さに抗議して、毎年9月に学生がストライキを起こし、授業が止まってしまうのだとか。
まるでロンドンのSOASについて聞いたのと同じような、学生の活発さを感じます。
でもそれ以上に、問題なく授業を続行できる環境にあって、学生がむしろ自主的に運動をして、授業をボイコットしている、という事実自体に隔世の感。

私が初めて調査に来ていたころは、まだインティファーダに対する弾圧が厳しくて、学生運動の温床となる大学をイスラエル当局が強制的に閉鎖して、授業ができなくさせる、という状態だったのです。
スルダという大学の手前の地点には、大学へ行けないよう盛り土の山が路上に作られ、学生はそれを徒歩で乗り越え、車を乗り換えて大学へ通う、という話がよく聞かれていました。
または閉鎖された大学の代わりに、別の場所で授業を行うなど。

開けない大学の授業を、なんとかして続行させようと努力していた10年前。
それと比べて今は、普通に開ける大学の授業を、学生が自由意思でボイコットできる、そんな時代になったんだな、と感じました。
他の国と同様に、授業料値上げなんていう共通の問題に対して抗議ができるようになった。
パレスチナが安定してきたことを感じます。

自治区をめぐる状況が、必ずしもいい方向に進んでばかりいるわけでは決してないけれど、流血の多かった時代を知る者としては、はがゆくも見えるこの安定にも、いい側面はあると思わざるを得ないのです。
そんなのは当事者でない日本人だからこそ言える台詞かもしれませんが。

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