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暗雲立ち込めるパレスチナ(1)

パレスチナ情勢が、非常に剣呑な状態に陥っている。
いまにも爆発して長期的な騒乱状態に突入してしまいそうな、
大規模な攻撃が始まってしまいそうな、強い不安定さを感じる。
なんだかんだで安定した状態が続いていたここ10年ほどの中で
これほどまでに不安な感覚を覚えるのは初めてだ。

きっかけは、イスラエルの宗教学生の誘拐事件。
パレスチナのファタハとハマースの統一内閣が宣言された直後に、その事件は起こった。
これから政治改革が進み、自治区内での久しぶりの選挙に向けて動き出そう
という矢先だった。

イスラエルは誘拐犯としてすぐにハマースを名指ししたが、
状況的にはハマースが関与していたとは考えにくい。
長年の制裁と、ムルシー政権の崩壊を受けて、ハマースは経済的に窮乏しており
ファタハとの連立に活路を見出していたと考えられるからだ。
そのチャンスを自らいきなりふいにするはずはない。
むしろ、ファタハとハマースの和解を快く思わない、パレスチナ内部の急進勢力が
暴発的に起こした事件と考えたほうが自然だろう。

誘拐の犯行声明は発表されず、代わりに誘拐された学生は、
18日後に遺体で見つかった。
殺されたのは誘拐直後だろうと推察されている。

誘拐されたのがイェシバの学生(敬虔なユダヤ教徒の通う宗教学校)
と聞いた瞬間から、これはあまりいい結果にはならないかもしれない
という嫌な予感はしていた。
パレスチナの占領を宗教的な理由で正当とまっこうから主張し、
非合法な入植を神の意思の実現と信じる彼らに対して
パレスチナ人が慈悲を感じる余地は少ないからだ。
でもなにも、殺さなくてもよかったのに、と、遺体発見の報を聞いて
私は暗澹たる気持ちに落ち込んでしまった。

宗教的な入植者の人質、というのは、
ギルアド・シャリートのときのような兵役に就いた若者の誘拐とは
イスラエル政府にとっても意味が違う。
交通機関が少ない自治区の南部とはいえ、ヒッチハイクをして自ら危険に飛び込んだ少年たちを
どう扱うべきか、政府としても対応にはやや逡巡したのだろう。
その証左が、ギルアドの誘拐直後はすぐにガザ攻撃に踏み切った(2006年)のに対して
今回はまだ報復策を決めかねていることからも伺われる。( Ha'aretz 2July2014
国民皆兵のイスラエルで、誰でもなり得る兵役からの人質、という状態に比べて
自ら危険を承知で自治区に住んでいるはずの入植者、というのは
(入植地への居住斡旋に政府が一定の役割の担っているとはいえ)
やはりプライオリティが下がるものと考えられる。

それでもイスラエル軍は誘拐直後からすぐに展開し、自治区内で大勢を拘束した。
その多くは、ギルアド・シャリート釈放の際や、その後の和平交渉での「友好姿勢のアピール」
として釈放されたばかりの政治囚だったという。
釈放されても対イスラエル姿勢を変えようとはしない政治囚が
イスラエルにとって脅威であり続けることは容易に理解できる。
同一人物が再度拘束されることに不思議はないが、それでも、こうした「再拘束」には
やはり政治的な意図が強く感じられた。
彼らの釈放に反対だったイスラエル市民に対するアピールともとれるからだ。

3人の学生が誘拐されたのは西岸の南部だったのに、
大量拘束が西岸地区の全土に及んだのも、その意図を裏書するように思えた。
拘束の過程では巻き添えになった市民の犠牲者も出た。
最初に命を落としたのは、私の友だちも住む、西岸南部のドゥーラー村の子どもだった。

shahid.jpg

いつもや花の写真や漫画しかアップしてこない、村の女の子の友だちが
シャヒード(イスラエルとの衝突で亡くなった人のことをパレスチナ人はこう呼ぶ)
となった子どもの写真をFacebookですぐにアップしているのを見て
事件と彼らの距離の近さを思い知らされた。
名前だけ確認して、自分の知り合いではないと安堵した私と
隣人を殺され、悼む彼らとの間の大きなへだたりを感じた。

自治区で大手テレビ局のカメラマンとして働く友人も、毎日のように
展開するイスラエル兵や部隊の写真をアップするようになった。
まだ若い彼らにとっては、見かけたニュース場面をちょっと得意になって
共有したがってるような軽いのりも感じられる。
しかしそのわずか先に、命にかかわりえる危険が起きないとも限らない。
巻き添えは、政治的にまったく関係なくても降りかかる事態だからだ。

実際に、ドゥーラーで殺された少年が誘拐ともハマースともかかわりがないことは
作られたポスターからも明らかだ。
彼の死を追悼するポスターには大きくファタハのロゴが記載されていた。
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