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暗雲立ち込めるパレスチナ(2)

イェシバの学生が殺されてからは、ますます暗い影は濃く厚くたちこめてきた。
遺体が見つかった2日後、今度は東エルサレムのパレスチナ人の少年が殺され、
遺体で発見された。
家の前にいたところを3人がかりで車に押し込まれて誘拐されるところを
防犯カメラは捉えていたという。
市民感情の昂りに発した明らかな報復行為とみていいだろう。

もともとエルサレムではユダヤ系とアラブ系が混住していることもあり
アラブ系のパレスチナ人に対する襲撃、暴力事件が数年前から頻発していた。

私が特に印象的に覚えているのは、2年前の夏の事件だ。
東エルサレムのラアス・アムードに住む17歳のパレスチナ人青年が
数十人のユダヤ人の若者に襲われて重症を負うという事件が起きた。
場所は西エルサレムの繁華街、木曜日から金曜日にかけての深夜のできごとだった。

今年と同様にイスラームの断食月(ラマダーン)が夏にかかり、それも終盤に近づいたため
祝日(イード)に着るシャツを買いに、事件の日、ジャマールは従兄弟とともに町へ出かけていた。
トラムも通って移動しやすくなった西エルサレムのヤッファ通りは、
パレスチナ人もわりに日常的に足を運ぶ買い物スポットである。

彼がアラブ(パレスチナ人)とみとめたユダヤ人の若者たちが
最初はおそらく冗談半分にこづき始め、逃げるジャマールを追いかけた。
転倒したジャマールに殴る蹴るの暴行を加え、運ばれたときには呼吸も脈も停止状態だったという。
暴行には最終的に4~50人の少年少女たちが加わっていた。

イスラエル紙のイディオト・アハロノトは翌週火曜日の記事で
暴行を認めた14歳半の少年の証言を報じた。
そこでの彼の言葉に、私は戦慄を覚え、深い闇の底を覗き込んでしまったように感じた。
「彼はアラブ人だ。(死んでもいいと思った)」
「もし彼を捕まえたら、また殴るだろう」
質問に対して、彼は堂々とそう言い放ったからだ。

隣人に対して自分と同じ「ひと」とは感じず、容赦ない暴力を加えることができる
そこまで乖離してしまった住民間の心理的分断が、今回の事件の背景にもある。
言い換えるならそこまで宗教色や対立が深まってしまったエルサレムの現状が
今回のような事件をもたらしたとみることもできるだろう。

事件を受けて国防相のモシェ・ヤアロンは、殺された3人の名前を冠した入植地を
さらに建設する、との提案を出していた。(Ha'aretz 1July2014
長期的政治決定としては打撃の大きいそうした決定ですら、
同じ報復というなら、まだしも人道的にも思える。
政治的暴力は、物理的暴力のように相手の顔を見ずにふるえる暴力だから。

留学でエルサレムに住んでいた頃のルームメイトの女の子が、
Facebookに悲鳴のような書き込みをアップしていた。
普段は政治に関することには全く興味を見せない、陽気な彼女なのに。
「今の状況には本当にうんざり!憎しみ、暴力、人種差別で
そこらじゅうが満ちている。次は何が起こるのだか」
前向きな彼女ですら、先の見えない不安に耐えられなくなっている。
励ましてあげたいけど、かける言葉も見つからない。

彼女だけではない。他の友だちも、ユダヤ人、パレスチナ人、それぞれが
暗転していく状況について、知る限りの最新ニュースをアップしていく。
他愛もないコミュニケーション・ツールでしかないはずのSNSを
フォローして読むのが辛くなってきた。

現地のテレビ局で働く友人が、同僚と防弾チョッキを着て映った写真を
アップしているのを見て、軽い衝撃を受ける。
チョッキを着るということは、弾が飛んでくる可能性があるということだ。
万が一のことも起こらないと願いたい。





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